ゴルフのスイング中に「肩が痛い」と感じた経験はありませんか?
特に50代以降のゴルファーでは、プレー後の肩の張りや可動域の狭さを訴える方が増えています。
肩の痛みは、単に「使いすぎ」だけではなく、スイング動作のクセや肩甲骨の動きの制限など、身体の使い方が関係していることが多いです。
この記事では、スイング動作のどの場面で肩に負担がかかるのか、そして悪化を防ぐための対策を、専門的な視点から分かりやすく整理します。
スイング動作のどこで肩に負担がかかるのか
ゴルフのスイングは、体全体を使った連続動作です。
その中でも「肩関節」は上半身の動きを主導する中心的なパーツ。
スイングの各フェーズで、異なる種類の負担がかかっています。
テイクバックでの「詰まり」
テイクバックでは、体を右にひねりながらクラブを引き上げます。
このとき、肩甲骨がスムーズに後ろへ回らない(外に開かない)と、上腕だけで引き上げる形になり、肩の前側(胸の付け根あたり)に詰まりが起きます。
年齢とともに肩甲骨まわりの柔軟性が落ちると、この動きが制限されがちです。
結果として、上腕二頭筋や三角筋の前部に過度な負担が集中します。
特に、クラブを「力で持ち上げる」タイプの方に多く見られる傾向です。
💡 ワンポイント
テイクバック初動では「肩で上げる」意識ではなく、胸ごと右を向くように回すイメージを持つと、肩への圧迫感を軽減できます。
トップでのねじれと引き込み
トップの位置では、上半身が最大までねじれた状態になります。
このとき肩甲骨がしっかりと内側に寄っていれば問題ありませんが、
柔軟性が足りないと、上腕骨(腕の骨)だけが後ろに引かれ、関節の前面で“挟み込み”が起きやすい状態になります。
この「詰まり感」が長く続くと、炎症や腱の摩擦を生み、痛みの原因となります。
一方で、体幹の回転が十分であれば、肩単独に過剰なねじれは起きません。
つまり、トップで肩が痛い人は、身体全体の回転が途中で止まっている可能性が高いのです。
🔍 参考:スポーツ庁の調査でも、中高年ゴルファーでは可動域の制限が肩痛の要因として多く報告されています(スポーツ庁「スポーツ実施状況調査」)。
フォローでの引き延ばしとねじれ戻し
インパクトからフォローにかけては、上半身を一気に回し戻す動作になります。
ここで問題になるのが、「肩甲骨がついてこない」ケースです。
上半身を回転させても、肩甲骨の動きが遅れると、肩の後ろ側(肩甲骨の外側)に引っ張られるような張りや痛みが出ます。
特に、インパクト後にクラブを大きく振り抜くタイプの方は要注意です。
背中や肩の後部筋が急激に伸ばされ、微細な損傷(筋繊維の炎症)を起こすことがあります。
💡 チェックポイント
・フォローで肩の後ろが張る
・スイング後、肩甲骨の内側が痛い→ このような場合、肩そのものよりも「背中の動きの固さ」が原因であるケースが多いです。
なぜ肩が悲鳴を上げるのか(生理的な背景)
では、なぜこのような動作のクセが痛みに変わるのでしょうか。
ポイントは、「肩甲骨と胸郭の連動」と「筋肉の前後バランス」の2点です。
肩甲骨と胸郭の連動不足
肩の関節は、腕の骨だけで支えられているわけではありません。
背中側で支える「肩甲骨」と、肋骨を覆う「胸郭(きょうかく)」が、なめらかに動くことで、初めて大きな可動域を発揮します。
しかしデスクワークや猫背姿勢が続くと、肩甲骨が外に開いたまま固定され、胸郭の動きも制限されてしまいます。
この状態でスイングすると、本来は肩甲骨が担うべき動きが、肩関節そのものに集中し、炎症を起こしやすくなります。
💡 日常の影響も無視できない
長時間のPC作業やスマホ操作は、肩甲骨まわりの筋肉を常に緊張させます。
こうした生活習慣の積み重ねが、ゴルフ時の動作不良に直結するのです。
筋肉バランスの崩れ(前側と後側の偏り)
ゴルファーに多いのが、胸まわりの筋肉が強く、背中側が使えていないタイプ。
前の筋肉ばかりが優位になると、肩は自然と前方に引き出され、可動域が狭くなります。
この「筋バランスのアンバランス」が、スイング時の引っかかりや詰まりの根本原因。
特に、大胸筋や上腕二頭筋が硬くなっている場合は、ストレッチをしてもすぐに戻ってしまうことが多いです。
根本的な改善には、背中側の筋肉(肩甲骨を寄せる働きのある筋群)を意識的に使う必要があります。
痛みを防ぐセルフケアと姿勢リセット
スイング中の肩の痛みを軽減するには、**「動かす前の準備」と「動かした後のリセット」**が欠かせません。
肩周辺の柔軟性を保ち、胸郭や背中の動きを広げることで、負担を減らせます。
ウォームアップとクールダウンの基本

ラウンド前後に軽い動きを入れるだけでも、肩の可動域は大きく変わります。
特に50代以降では、筋肉の温度が低い状態でスイングを始めると、炎症や張りを起こしやすくなります。
おすすめのウォームアップ例
- 両腕をゆっくり大きく回す(10回×2セット)
- 肩甲骨を寄せる・開く動きを繰り返す
- 胸を張って深呼吸しながら、胸郭の動きを意識
一方、ラウンド後はクールダウンとして、肩・背中を軽く伸ばして筋肉を休ませましょう。
クールダウン例
- 背中側で両手を組み、肩の前側を伸ばす
- 壁に手を当て、胸を開くようにゆっくりストレッチ
- 肩をすくめて下げる動作を10回繰り返す
⚠️ 注意
ストレッチは「気持ちいい程度」で止めること。
痛みが出た場合は中止し、無理に押し込まないようにしましょう。
(※効果には個人差があります。既往歴や服薬中の方は、必ず専門家に相談してください)
無理のないストレッチ例

特別な器具は不要です。自宅でできる簡単な動きで十分です。
① 肩甲骨はがしストレッチ
椅子に座り、片腕を胸の前で抱えるようにして、もう一方の腕で軽く引き寄せます。
背中側の伸びを感じたところで10秒キープ。左右3回ずつ。
② 胸を開くストレッチ
背筋を伸ばして立ち、両手を背中側で組み、息を吐きながら胸を張ります。
胸の前が伸びる感覚があればOK。10秒×3セット。
③ タオル肩回し
タオルの両端を持ち、背中越しに上下へ軽く動かします。
肩甲骨の動きを意識して、力を抜いて行いましょう。
💡 継続のコツ
ストレッチは「痛みが出てから」ではなく「痛くならないように」行うのが理想です。
朝の支度前やお風呂上がりなど、日常のルーティンに組み込むと無理なく続けられます。
「訪問 ゴルフ整体」でできる分析とケア

セルフケアで痛みが和らがない場合、
根本的な原因が「関節の動きのズレ」や「身体全体の連動不足」にあることも少なくありません。
Golfitでは、国家資格を持つ施術者が、スイング動作と身体の使い方を医学的に分析します。
痛みの部位だけでなく、体幹・骨盤・背骨の動きまでを確認し、再発しにくい身体づくりをサポートします。
Golfitのアプローチ例
- 肩関節の動きを制限している筋群をやさしくほぐす
- 肩甲骨と胸郭の可動性を高める調整
- 体幹や下半身との連動性を整えるトレーニング指導
これにより、「肩をかばうスイング」から脱却し、自然な回転を取り戻すことを目指します。
👉 詳しくは Golfitの施術内容 をご覧ください。
施術の流れや料金は ご利用の流れ と 料金ページ にまとめています。
まとめ
スイングで肩が痛くなるのは、単なる「年齢のせい」ではありません。
多くの場合、肩甲骨や胸郭の動きが滞り、スイング動作の中で負担が偏っていることが原因です。
- テイクバックでの詰まり
- トップでのねじれ
- フォローでの引き延ばし
これらの動きのどこかに無理が生じていれば、痛みは再発しやすくなります。
まずは、日常で肩を動かす習慣を取り戻し、無理のない範囲でストレッチを続けてみてください。
それでも改善しない場合は、スイングそのものの使い方を見直すことが必要です。
Golfitでは、「動き方から整える」という視点で、痛みの原因を丁寧に分析します。
プレーを楽しみ続けるために、身体の声に早めに耳を傾けてみましょう。
